【8/24〜の週】ジャクソンホール+PCE、通貨別にAI&プロの予測まとめ

今週はジャクソンホール会議(8/27〜29)の週です。目玉は金曜23:00のウォーシュFRB議長・就任後初の基調講演。その2日前、水曜21:30には米PCEデフレーターとGDP改定値がまとめて出ます。9月FOMCまで残り3週間、この2つで「9月に利上げするのかしないのか」の答えがかなり見えてくる週です。

前の週はドルが一人負けでした。米財務省が長期国債の買い戻しを倍増すると突然発表し、米金利が急低下してドル安・金高が一気に進んだためです。その余熱を持ったまま最大のイベントに入ります。

世界中のアナリストの分析をAIと一緒に集めて、通貨別の方向性を整理してみました。

📊 今週の指標カード一覧


発表   指標名 重要度 前回値 予想
── 月曜(8/24)──
07:45 NZ 第2四半期小売売上高 ◎ +0.9% +0.2%
── 火曜(8/25)──
10:30 豪 RBA議事録公表(8月10日・11日開催分) ◎ − −
23:00 米 消費者信頼感指数 AA 90.8 90.2
23:00 米 新築住宅販売件数 A 62.8万件 62.0万件
26:00 米 2年債入札 A − 690億ドル
── 水曜(8/26)──
10:30 豪 消費者物価指数 ◎ +3.8% +3.3%
21:30 米 個人所得 S +0.2% +0.2%
21:30 米 個人支出 S +0.3% +0.1%
21:30 米 PCEデフレーター S +3.7% +3.6%
21:30 米 PCEコア・デフレーター [前月比/前年比] S +0.1% +0.2%
21:30 米 第2四半期GDP【改定値】 AA +1.5% +1.5%
21:30 米 個人消費【改定値】 AA +3.2% +3.2%
21:30 米 GDPデフレーター【改定値】 AA +6.2% +6.2%
21:30 米 コアPCEデフレーター【改定値】 AA +3.4% +3.4%
21:30 米 耐久財受注 A +0.5% +0.5%
21:30 米 耐久財受注【除輸送用機器】 A +0.7% +0.5%
26:00 米 5年債入札 A − 700億ドル
米株 引け後 米 NVIDIA決算 S 大手企業決算 −
── 木曜(8/27)──
20:30 欧 ECB理事会議事要旨公表(7月22日・23日開催分) ◎ − −
21:30 米 新規失業保険申請件数 AA 20.6万件 20.8万件
26:00 米 7年債入札 A − 440億ドル
── 金曜(8/28)──
08:30 日 東京都区部消費者物価指数 ◎ +2.0% +1.9%
08:30 日 東京都区部消費者物価指数【除生鮮】 ◎ +1.9% +1.8%
21:30 加 GDP[前月比/前年比] ◎ +0.3% +0.2%
21:30 加 第2四半期GDP ◎ -0.1% +3.3%
23:00 米 ミシガン大学消費者信頼感指数【確報値】 A 51.0 51.0

※日時はすべて日本時間(JST)。26:00=翌日午前2時、27:00=翌日午前3時です。重要度ランクは羊飼いのFXブログ(kissfx.com)の表記をそのまま使っています。今週は主要市場の休場はありません。
※米国債の入札が火・水・木と3日連続(2年・5年・7年)。前の週に長期債の需給が相場を動かしたばかりなので、深夜26:00の結果はいつもより注目されます。

🎤 今週の要人発言カレンダー
注目度 発言者 予定(JST) 注目ポイント
★★★ ウォーシュFRB議長(ジャクソンホール基調講演) 8/28(金)23:00 今週最大のイベント。議長として初のジャクソンホール。9月FOMC(9/16)まで19日というタイミングで、利上げの地ならしをするのか、逆に打ち止めを示すのか
★★ 氷見野日銀副総裁(さいたま市であいさつ→記者会見) 8/27(木)10:30 9/18の日銀会合を前にした事実上の地ならし役。物価の上振れリスクにどこまで踏み込むかが焦点
★★ ボウマンFRB副議長・クックFRB理事(ジャクソンホールでの討議・講演) 8/27(木)〜29(土) カンザスシティ連銀の公式プログラムに登壇予定。議長講演の前後でどちら寄りの補強に回るか
★★ ベッセント米財務長官・記者会見(イラン制裁について) 8/24(月)27:00 中銀ではありませんが、前の週に国債買い戻しの倍増でドルを動かした当人。制裁の話から原油・国債の話に飛ぶ可能性があり、週明けから警戒
★ ECB理事会議事要旨(7月22日・23日開催分) 8/27(木)20:30 発言ではなく議事要旨。ユーロ圏の物価と成長をどう見ていたかの答え合わせ
★ シポローネECB専務理事(独連銀シンポジウムで講演) 8/26(水)19:10 テーマは決済の未来。金融政策そのものの話は出にくく、参考程度
発言の注目度ランクについて
★★★ = 中央銀行トップ(FRB議長、ECB総裁、BOJ総裁、BOE総裁、RBA総裁など)。発言だけで相場が動くレベル
★★ = FRB副議長、投票権ありの地区連銀総裁、中銀副総裁クラス。政策に直接影響力がある人
★ = 投票権なしの地区連銀総裁、その他の中銀メンバー。参考程度だがチェック推奨
※発言の時間は変更される場合があります

今週の日銀・ECB・BOE・RBAトップの定例講演は確認できませんでした(日銀は副総裁のみ)。ジャクソンホール会議のテーマは「金融イノベーション:決済と政策への含意」で、金融政策そのものが議題ではありません。それでも議長の基調講演は毎年、質疑や導入部分で金融政策に触れるのが通例です。

🤖 AIが気になった今週のニュース
🔴 地政学リスク → GOLD・原油・USD・CADに効く

イランとの交渉が振り出しに戻り、ブレント原油は94ドル台へ。ホルムズ海峡はなお目詰まり
8月の前半は「米イランの合意が近い」との観測で原油が下げていましたが、合意は成立せず、双方の言葉が再び強くなって原油は上昇に転じました。ブレントは94.39ドルと7月以来の高値、WTIは87.06ドルです。6/17に署名された覚書ではホルムズ海峡の運用をオマーンや湾岸諸国との交渉で決めることになっていますが、通航量は戦前の日量約2,000万バレルに対して約800万バレル分が失われたままと推計されています(アルジャジーラ・CNBC)。金曜にはペゼシュキアン大統領が「今日にでも戦争を終えたほうがよい」と発言し、原油はいったん落ち着きました。

ここで効き方が2通りある点に注意です。①原油高 → 物価が上がる → FRBが利上げしやすくなる → ドル買い・金売りという金利を通る経路と、②緊張が高まる → 安全資産に逃げる → 金買い・円買いという直接の経路。前の週は②が勝ちました(原油が上がったのに金も+5.18%)。①が働きにくかったのは、後述の国債買い戻しで米金利がむしろ下がったからです。今週も月曜27:00にベッセント財務長官のイラン制裁に関する記者会見があり、週明けから材料が出ます。

🟡 要人発言・介入 → USD・JPY・GOLDの方向性に直結

ウォーシュ議長の初講演は「9月利上げの是非」に直結。介入警戒は中
9月FOMC(9/16)の利上げ確率は、8/20時点で約31.6%(据え置き68.4%)まで下がっています。7月会合では3人が利上げを主張して反対票を投じており、これは10年ぶりの割れ方でした。ウォーシュ議長はECBフォーラムで「インフレ期待は下がり、インフレのリスクも下がった」「AIが供給側を広げることは金融政策に大きな意味を持つ」と述べており、言葉だけ見ると利上げに前のめりではない印象です。ゴールドマン・サックスもFRBは2026年いっぱい据え置きと見ています。ただしゴールドマンは同時に「ジャクソンホールの基調講演は歴史的に為替の値動きを大きく増幅させてきた」とも指摘しており、どちらに転んでも金曜夜は荒れやすい前提で臨むのが安全です。

円の介入警戒:中。7/30〜31に日米が協調して円買い介入を実施済みで(円買いの協調は1998年以来)、7/30の日本単独分は推定8.45兆円と1日として過去最大でした。片山財務相・ベッセント長官とも「必要ならためらわない」と声明で明言しています。その後ドル円は157円まで円高に振れたあと8/10〜11に159円台へ戻し、介入で得た分の半分以上を吐き出しました。前の週に新しいレートチェック報道や、語気を一段強めた発言は確認できていません。ただし市場は「160円に近づけばもう一度ある」と見ており、159円台前半は警戒ゾーンの入口です(財務省声明・CNBC・日経・Fortune)。

🟠 前週の余波 → 「米財務省の一撃」でドルだけが崩れた

水曜、米財務省が長期国債の買い戻しを倍増と発表。ドルは全面安、金は+5.18%
前の週の主役は経済指標ではなく米財務省でした。8/19(水)、長期国債の買い戻しオペを1回あたり20億ドルから40億ドルへ倍増すると突然発表(実施は9/9〜11/4)。直前まで10年債・30年債の利回りが20年ぶりの高さまで売られていたところに出た発表で、30年債利回りは5.26%から5.18%へ、10年債は4.68%から4.63%へ急低下しました。ドルは3週間ぶりの大幅安、ドル円は一時158円割れ、金とビットコインが急伸しています(米財務省リリース・ブルームバーグ・CNBC・Axios・みんかぶ)。同じ日のFOMC議事録は「物価への警戒はにじむが、極端に利上げ寄りではない」という受け止めで、ドル売りをもう一押ししました。

週間の通貨の強さはNZD > EUR > AUD > CHF > GBP > JPY > CAD > USDで、ドルの一人負け(対主要通貨で約-1%)。木曜にはユーロドルが3か月ぶりに1.17台へ乗せ、ベッセント長官が買い戻しのさらなる拡大を示唆しました。金曜は米政府債務が40兆ドルを超える中でイラン関連の戦費拡大への警戒が出て、ドル安が続いています。

今週も続くのか、それとも一巡か。買い戻しの実施は9/9からなので材料としては残ります。ただし米外交問題評議会(CFR)は「買い戻しは中身よりもメッセージで、需給に飲み込まれる」と指摘しており、実際に長期金利の低下は1日程度で、その後は上昇基調に戻りました(Danske/ActionForex)。ドル安をもう一段深めるには、金曜の講演で追加の材料が要るというのが各社に共通した見方です。

ぼんやり検索で拾った、上の話に出てこない論点を3つ。①トランプ大統領が牛肉の関税で譲歩しました(8/21、investingLive)。通商面が和らぐのはリスクを取りやすくする方向で、豪ドルなどに効きます。②日本の10年債利回りが2.945%と3%目前まで上昇(8/18)。世界的な債券売りの一角ですが、円金利側の材料として今週も残ります。③ユーロ圏の8月フラッシュPMIは製造業が51.9→52.8と2022年以来の高さ。ユーロの下支えになっています。

🟢 原油・ゴールド → 金は4,600ドル突破、200日線を2か月ぶりに回復

金は3か月ぶり高値。Kitco調査でウォール街の弱気はゼロ
金は週末に4,600ドルを上抜けて3か月ぶりの高値をつけ、200日移動平均線を約2か月ぶりに回復しました。Kitcoの週間調査では、ウォール街のアナリスト11人のうち強気8人(73%)・中立3人(27%)・弱気はゼロ。個人投資家(211票)も強気78%・弱気12%です。Marc Chandler氏(Bannockburn Global Forex)は「4,600ドルを抜ければ次は4,680ドル付近」、Lukman Otunuga氏(FXTM)は「4,600ドルで日足を終えれば4,700ドルをテストできる」と見ています。Kevin Grady氏(Phoenix Futures and Options)の「債券がすべてを支配している。根っこの問題がある」というコメントが、今の金相場を一番端的に表しています。ウェルズ・ファーゴは2026年末の目標を4,900〜5,100ドルへ引き上げました。

上値の目安は4,660〜4,700ドル、その先は4,770〜4,800ドル。下値の支えは4,500ドル、次に4,440〜4,450ドルです。原油はブレント94ドル台で、産油国通貨のカナダドルには支えになりますが、輸入に頼る日本にとっては円安材料でもあります。

🌍 今週の通貨別見通し
米 USD 米ドル↓ やや弱気
ドル指数は98.8前後と5月以来の安値圏。9月の利上げ確率は8/20時点で約31.6%まで下がり(据え置き68.4%、CME FedWatchベース)、ゴールドマン・サックスは2026年いっぱい据え置き・ドルは下落継続と見ています。ING Thinkも「FRBが利上げしないのであれば、米短期金利とドルにはまだ下押しの余地が大きい」との整理。ウォーシュ議長自身の直近の言葉も利上げに前のめりではありません。

逆に振れるとしたら:水曜のコアPCEが前月比+0.3%へ加速し(運用報酬の6.5%上昇が押し上げ要因との指摘あり)、金曜にウォーシュ議長が9月利上げの地ならしをした場合。この組み合わせなら5月からのドル安が一気に巻き戻る可能性があります。

ING Think / ゴールドマン・サックス / CME FedWatch / FXStreet / TechTimes
日 JPY 日本円↓ やや弱気
ドル円は159円台。ドルが弱いのに円も弱く、結果として値が動かないという状態です。前の週もドルが8通貨中最下位まで沈んだのに、円は6位でした。金利差が円を重くしている構図は変わっていません。9/18の日銀利上げをスワップ市場が約80%織り込んでいるのは支えですが、金曜の東京都区部CPIは予想+1.9%(前回+2.0%)、生鮮を除くベースも+1.8%(前回+1.9%)と鈍化の予想で、素直なら円買い材料にはなりません。木曜10:30の氷見野副総裁のあいさつと記者会見が、物価の上振れリスクにどこまで踏み込むかが分かれ目です。西原宏一氏は「ドル円は160円が上値の目安。レンジで売るとスワップの負担が重い」とし、高金利の豪ドル円に注目しています。

介入警戒:中。7/30〜31の日米協調介入から3週間強、水準はほぼ当時に戻りました。新しいレートチェック報道は出ていませんが、160円接近なら二度目が意識されます。

逆に振れるとしたら:東京都区部CPIが予想を上回る、氷見野副総裁が9月利上げを強くにおわせる、あるいはドル円が160円に接近して実弾の介入が入った場合。この3つのどれかで円は一気に最強通貨側に回ります。

FXStreet / 西原宏一(ザイFX) / 財務省・CNBC・日経 / MNI(氷見野副総裁講演) / kissfx.com(指標予想)
欧 EUR ユーロ↑ やや強気
1.1680前後。前の週は木曜に3か月ぶりの1.17台(1.1711)まで乗せたものの、1.1700の上値の壁を明確に抜けきれていません。それでも8月のフラッシュPMIは製造業が51.9→52.8と2022年以来の高さで、域内の景気は改善方向です。ActionForexは「1.1621のまとまった上値の壁を明確に抜ければ、1.2081からの下げは1.1323で3波の調整として終わったと言える」と強気寄りに整理しています。今週の域内材料は火曜の独IFO(予想87.2、前回86.6)、木曜のECB議事要旨、金曜の仏CPI速報くらいで、基本はドル次第です。

逆に振れるとしたら:ウォーシュ議長が利上げ寄りの発言をしてドルが反発した場合。域内に自前の買い材料が乏しいぶん、1.1600まで素直に押し戻される展開になりやすい構図です。

ActionForex / FXStreet / NordFX(MQL5) / kissfx.com(指標予想)
英 GBP ポンド↑ やや強気
1.3650前後。今週の英国の指標はほぼ空っぽで、水曜のCBI流通取引調査くらいしかありません。つまりポンドは完全にドル任せ、金曜のウォーシュ講演一発勝負です。テクニカルではActionForexが「1.3557を明確に抜けたので、次は1.3690(1.3139→1.3557の値幅を1.3272から100%投影した水準)」と見ています。BOEは7/30に5会合連続で据え置いたものの、9人中3人が4%への利上げに投票しており、9/17会合の据え置き確率は76%。利上げ方向の芽が残っていることはポンドの下支えです。

逆に振れるとしたら:FXStreetが警告するとおり、国内によりどころが無いため、講演の内容ひとつで一気に値洗いされます。ドルが強く戻る展開ではポンドが最も素直に下げる通貨になり得ます。

ActionForex / FXStreet / HomeOwners Alliance(BOE織り込み) / kissfx.com(指標予想)
豪 AUD 豪ドル↑ やや強気
0.7170と数か月ぶりの高値。前の週のドル安で最も得をした通貨(対ドル+0.82%)でした。金が4,600ドル、鉄鉱石も崩れておらず、金利とは別のところで豪ドルを支える構図が続いています。牛肉関税でのトランプ大統領の譲歩も、リスクを取りやすくする方向に効きます。RBAは8月に4.35%で据え置き、声明では2026年末までに「利上げ1回に満たない程度」を想定しています。

最大の関門は水曜10:30の豪CPI(予想+3.3%、前回+3.8%)。予想どおりの鈍化ならすでに市場に織り込まれていますが、さらに下振れるとRBAの利上げの芽が消えて上昇に一服が入ります。火曜10:30のRBA議事録、木曜の第2四半期民間設備投資(予想+0.8%、前回+6.5%)も材料です。

逆に振れるとしたら:豪CPIが3%割れまで急減速した場合、または金曜の講演で米国が利上げ方向に傾いてリスク資産が売られた場合。豪ドルは値動きが大きい通貨なので、その時の下げ幅も大きくなります。

FXStreet / RBA Statement on Monetary Policy(8月) / investingLive / kissfx.com(指標予想)
🥇 GOLD ゴールド↑ やや強気
4,600ドル台。3か月ぶりの高値で、200日移動平均線を約2か月ぶりに回復しました。Kitcoの週間調査ではウォール街のアナリストの弱気がゼロ(強気73%・中立27%)、個人投資家も強気78%です。

金は2つの経路の綱引きで決まります。①原油高 → 物価上昇 → 利上げ観測 → 金利上昇 → 金売りと、②地政学リスクと通貨への不信 → 金買い。ブレントは94ドル台と①が働いてもおかしくない水準ですが、実際には9月利上げの確率が31.6%まで下がっており、①が効いていません。米財務省の国債買い戻しで長期金利が押し下げられたことも、金利を通じた売り圧力を弱めています。つまり今は②が優勢という判断です。

上値の目安は4,660〜4,700ドル、その先が4,770〜4,800ドル。下値の支えは4,500ドル、次に4,440〜4,450ドルです。

逆に振れるとしたら:金曜の講演でウォーシュ議長が9月利上げを示唆した場合。実質金利が跳ね上がり、①の経路が一気に効き始めます。この場合、Kitcoが指摘するとおり数週間ぶりの本格的な下押しになりやすく、4,500ドル割れまで見ておく必要があります。アナリストの弱気がゼロという状態は、悪材料が出たときに一方向へ動きやすいことの裏返しでもあります。

Kitco News(週間調査・Wells Fargo) / Marc Chandler(Bannockburn Global Forex) / Lukman Otunuga(FXTM) / Kevin Grady(Phoenix Futures and Options) / NordFX(MQL5)

📚 最重要指標ピックアップ:水曜21:30の米PCEと、金曜23:00のウォーシュ講演は「セット」で見る

今週の重要イベントは水曜と金曜に固まっています。しかもこの2つは別々に見ても意味がなく、セットで1つの材料です。順番に見ていきます。

■ 水曜21:30 米PCEデフレーター(重要度S)
FRBが物価を見るときに一番重視している指標です。今回は7月分。kissfx.comが載せている予想は全体で+3.6%(前回+3.7%)、コアが前月比+0.2%(前回+0.1%)。海外のコンセンサスでは前年比のコアが3.3%前後に集まっており、クリーブランド連銀の推計も3.29%です。予想が3.2〜3.3%に約88%集中しているという集計もあります。

なぜ意見が割れるのか。ポイントは「前年比」と「前月比」で見え方が逆になりうることです。前年比は3.7%→3.6%と下がる予想で、これだけ見れば物価は落ち着いてきた話になります。ところが前月比のコアは+0.1%→+0.2%(海外の一部予想では+0.3%)と加速する見込み。前年比は1年前の高い数字が抜けるだけで下がるので、今まさに物価がどうなっているかは前月比のほうが正直です。さらに今回は運用報酬が6.5%上がった分がそのままコアPCEに流れ込むという指摘があり、上振れの下地はあります。FRBが2%の目標に対して3%台にいる以上、前月比が+0.3%なら「まだ利上げの選択肢は残る」という話になります。

同じ21:30には第2四半期GDPの改定値(予想+1.5%、前回+1.5%)と耐久財受注(予想+0.5%)も出ます。物価は高いのに成長は鈍い、という組み合わせになるとFRBの判断はいっそう難しくなります。

■ 金曜23:00 ウォーシュFRB議長のジャクソンホール基調講演(重要度SS)
議長になってから初めてのジャクソンホールです。CMEグループが「議長デビューはFOMC決定の19日前」と特集を組むほど、タイミングが際どい。7月会合では9人中3人が利上げに反対票を投じており(同じ方向で3人が反対票を出したのは10年ぶり)、FRBの中は割れています。市場の9月利上げ確率は31.6%まで下がっていますが、これは議長の一言で50%にも10%にも動く数字です。

今年のジャクソンホールのテーマは「金融イノベーション:決済と政策への含意」で、金融政策そのものが議題ではありません。それでも基調講演は毎年、金融政策の考え方に触れるのが通例です。ウォーシュ議長は6月のECBフォーラムで「インフレ期待は下がり、インフレのリスクも下がった」「AIが供給側を広げることは金融政策に大きな意味を持つ」と述べています。この延長線なら利上げを急がない話になります。

ここだけ見ればOKの数字:水曜のコアPCE前月比が「+0.2%か+0.3%か」。
+0.2%以下なら、金曜の講演でウォーシュ議長が利上げに前のめりになる理由が薄れ、ドル安・金高の流れが続きやすくなります。+0.3%なら、講演が利上げの地ならしに使われる可能性が一気に上がり、5月から続いたドル安が巻き戻る展開を警戒すべきです。
※水曜の結果だけで動き切らず、金曜の講演まで持ち越されるのが今週の性質です。水曜の反応が小さくても「材料が消えた」とは考えないでください。

🤖 はかせがAIに聞いてみた
🤖 AI総合判断
今週の通貨強弱ランキング(予想)
AUD>
EUR>
GBP>
JPY>
USD
🥇 GOLD:↑ やや強気。4,500〜4,700ドルのレンジを想定。ウォーシュ議長が利上げを急がない姿勢なら4,700ドルトライ、利上げ示唆なら4,500ドル割れまで一気の調整。
最も強そうなのはAUD。金が4,600ドル、鉄鉱石も崩れておらず、商品の裏付けが金利とは別に効いています。前の週にドルが崩れた場面で最も上がった通貨でもあり、勢いが残っています。水曜の豪CPIが予想どおり(+3.3%)なら、すでに市場に織り込まれた範囲として通過。牛肉関税でのトランプ大統領の譲歩も追い風です。
最も弱そうなのはUSD──ただし「最も化けやすい最弱」です。ドル指数は5月以来の安値圏、9月利上げの確率は31.6%まで低下、ゴールドマンは年内据え置き予想。ここまでは素直にドル安です。ただし今週は水曜のPCEと金曜の講演という、ドルの方向を丸ごとひっくり返せる材料が2つあります。金曜23:00以降のポジションは「今週の答えが出た後」の別物と考えるべきです。
JPYは「弱いけれど下がりきらない」いつもの形。金利差が円を重くする一方、160円に近づくほど介入の警戒が効いてブレーキがかかります。前の週はドルが崩れたのに円が6番目という結果で、円の弱さが構造的であることが改めて見えました。金曜朝の東京都区部CPIが上振れれば、日銀の9月利上げ観測が強まってランキングごと変わる可能性があります。
EURとGBPは、どちらもドル任せの週。ユーロはPMIの改善という自前の追い風があるぶん一歩リード。ポンドは今週の英国指標がほぼ空っぽで、完全にウォーシュ講演の結果待ちです。だからこそ、金曜夜に一番大きく振れるのはポンドかもしれません。
📅 曜日別の注意ポイント
月(8/24)朝7:45にNZの第2四半期小売売上高(予想+0.2%)。米国の主要指標はありません。深夜27:00のベッセント財務長官の記者会見(イラン制裁)に注意。前の週に国債買い戻しでドルを動かした当人です。
火(8/25)10:30にRBA議事録。夜は米消費者信頼感指数(23:00、予想90.2)と新築住宅販売(23:00)。深夜26:00に2年債入札。独IFO(予想87.2)でユーロの地合い確認。
水(8/26)⚠️ 前半のヤマ。10:30の豪CPI(予想+3.3%)で豪ドルの正念場。21:30に米PCE・GDP改定値・耐久財受注が一斉。深夜26:00に5年債入札、米株引け後にNVIDIA決算と、朝まで気が抜けません。
木(8/27)10:30に氷見野日銀副総裁のあいさつと記者会見。20:30にECB議事要旨、21:30に米失業保険(予想20.8万件)。ジャクソンホール会議が開幕し、夕方以降はヘッドラインが増えます。深夜26:00に7年債入札。
金(8/28)⚠️ 今週の分かれ目。朝8:30に東京都区部CPI(予想+1.9%)で円が動き、21:30に加GDP、そして23:00にウォーシュFRB議長の基調講演。週末をまたぐので、ポジションを持ち越すかどうかも含めて事前に決めておきたい日です。
シナリオ分岐(金曜23:00)。①利上げを急がない寄り→ ドル安が続き、ドル指数は98割れを試す。金は4,700ドルへ、豪ドル・ユーロが素直に上昇。②利上げしたい寄り(9月利上げの地ならし)→ 5月からのドル安が巻き戻り、ドル円は160円方向へ。ここでは介入の警戒が同時に強まるので、ドル円だけ動きがぎこちなくなる可能性があります。金は4,500ドル割れを試す展開。③何も言わない→ 9月FOMCまで判断が持ち越され、月末フローだけが残る。この場合は水曜のPCEの結果が改めて効いてきます。
おすすめ監視ペア:XAUUSD(今週の材料に一番素直。上下どちらにも大きい)、AUDUSD(最強候補×水曜のCPIという二重の見どころ)、GBPUSD(自前の材料が無いぶん金曜の講演を最も純粋に映す)、USDJPY(160円の壁と介入警戒。動きにくいがブレイクすれば速い)

📝 まとめ

今週は水曜21:30の米PCEと、金曜23:00のウォーシュFRB議長の初講演の2つですべてが決まります。9月の利上げ確率は31.6%まで下がっていて、素直に読めばドル安・金高の継続。ただしコアPCEの前月比が+0.3%へ加速し、議長が利上げの地ならしをした場合は、5月から続いたドル安が一気に巻き戻ります。週の前半は静かでも、金曜の夜に今週の結論が出るタイプの週だと思って構えておくのが良さそうです。円は159円台で、160円に近づけば7月末に続く二度目の介入が意識されます。

▶ 来週の注目:8/31週は月初。米ISM製造業・非製造業と、金曜の米雇用統計(NFP)が控えます。9/16のFOMCに向けた最後の主要データがそろう週なので、今週のジャクソンホールで示された方向が本物かどうかを試す一週間になります。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。
※指標の重要度ランクは羊飼いのFXブログ(kissfx.com)の指標ランクを参考にしています。

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