【9/7〜の週】ECB利上げ+米CPI、円高は続くか?通貨別AI予測まとめ
先週の主役は、金曜の雇用統計ではなく木曜の「言葉」でした。ウォラーFRB理事が「インフレ鈍化の兆しが続くなら9月は据え置きを支持する」と述べた瞬間、9月利上げの見込みは66%から48%へ崩れ、ドルは5月以来の安値へ。同じ日に高田日銀審議委員の「連続利上げ・大幅利上げも選択肢」発言で円が急伸し、ドル円は160円台から一時155円台まで落ちました。金曜の雇用統計は予想の3倍近い+16.2万人でしたが、ドルは木曜の下げを取り返せずに週を終えています。
今週はそのFRBがブラックアウト期間(会合前の発言禁止期間)に入り、誰も相場を「解説」できない状態で、木曜21:15にECB(利上げ予想)、金曜21:30に米CPIがやってきます。CPIは9月16日のFOMCの前に出る最後のインフレ指標。来週にはFOMC・BOE・日銀の会合が3つ並ぶので、今週はその前の「最終的な材料出し」の週になります。
世界中のアナリストの分析をAIと一緒に集めて、通貨別の方向性を整理してみました。
| 発表 | 指標名 | 重要度 | 前回値 | 予想 | |
|---|---|---|---|---|---|
| ── 月曜(9/7)── | |||||
| ── 火曜(9/8)── | |||||
| 08:50 | ![]() |
第2四半期GDP【改定値】 [前期比/前期比年率] | ◎ | +0.3% | +0.4% |
| 08:50 | ![]() |
名目GDP【改定値】 | ◎ | +1.2% | +1.3% |
| 08:50 | ![]() |
GDPデフレーター【改定値】 | ◎ | +2.6% | +2.6% |
| 26:00 | ![]() |
3年債入札 | A | − | 580億ドル |
| ── 水曜(9/9)── | |||||
| 26:00 | ![]() |
10年債入札 | AA | − | 390億ドル |
| ── 木曜(9/10)── | |||||
| 20:00 | ![]() |
TCMB政策金利&声明発表 | ◎ | 37.00%据え置き | 37.00%据え置き |
| 21:15 | ![]() |
ECB政策金利&声明発表 | ◎ | 2.40%据え置き | 25bp 利上げ 2.65% |
| 21:30 | ![]() |
新規失業保険申請件数 | AA | 20.6万件 | 20.5万件 |
| 21:30 | ![]() |
生産者物価指数[前月比/前年比] | S | ±0.0% | +0.4% |
| 21:30 | ![]() |
生産者物価指数【コア】[前月比/前年比] | S | +0.2% | +0.3% |
| 23:00 | ![]() |
中古住宅販売件数 | A | 406万件 | 399万件 |
| 26:00 | ![]() |
30年債入札 | AA | − | 220億ドル |
| ── 金曜(9/11)── | |||||
| 21:30 | ![]() |
消費者物価指数[前月比/前年比] | SS | +0.1% | +0.4% |
| 21:30 | ![]() |
消費者物価指数【コア】[前月比/前年比] | SS | +0.2% | +0.2% |
| 23:00 | ![]() |
ミシガン大学消費者信頼感指数【速報値】 | AA | 51.7 | 51.0 |
※重要度は羊飼いのFXブログの指標ランクを参考に表記
※コンセンサスはkissfx.com、Trading Economics等から取得
※A以下の米国指標・○以下のその他指標は省略(そのため月曜は行がありません)
※ECBの「2.40%→2.65%」は主要リファイナンス金利。本文で使う中銀預金金利は2.25%→2.50%の利上げ予想です
| 注目度 | 発言者 | 予定(JST) | 注目ポイント |
|---|---|---|---|
| ★★★ | ラガルドECB総裁(記者会見) | 9/10(木)21:45 | 21:15の政策決定(預金金利2.25%→2.50%の利上げ予想)を受けて。利上げ自体はロイター調査の65人全員が予想する既定路線。勝負は「12月にもう1回」(市場は約80%織り込み)を認めるか、それとも「データ次第」でぼかすか。FXStreetの事前予想は「利上げはするが道筋は示さない」 |
| ★★ | 増一行 日銀審議委員(あいさつ+記者会見) | 9/10(木)10:30〜(福井) | 先週の高田委員「連続・大幅利上げも選択肢」に続く発言。9/18の利上げはほぼ織り込み済みなので、焦点は「その先のペース」。同調すれば円買い継続、慎重なら円の戻り売りが出やすい |
| ★★ | ハウザーRBA副総裁 | 9/8(火)18:30 | 直近で「中東・AI投資・生産性の3つの上振れリスクが実現すれば、もう一度利上げが必要」と発言(ロイター)。11月までの利上げ約92%の織り込みを固めるか |
| ★ | ハンターRBA総裁補 | 9/8(火)時刻未確認 | IGによるとハウザー副総裁と同じ日。副総裁とトーンが揃うかを確認 |
| ★ | ナーゲル独連銀総裁 | 9/9(水)26:00 | ECB理事会の前日。理事会内のタカ派(「利上げすべき」寄り)の代表格で、12月の追加利上げに言及するか |
★★★ = 中央銀行トップ(FRB議長、ECB総裁、BOJ総裁、BOE総裁、RBA総裁など)。発言だけで相場が動くレベル
★★ = FRB副議長、投票権ありの地区連銀総裁、中銀副総裁クラス。政策に直接影響力がある人
★ = 投票権なしの地区連銀総裁、その他の中銀メンバー。参考程度だがチェック推奨
※発言の時間は変更される場合があります
FRBは9/5〜9/17がブラックアウト期間で、今週の発言予定はゼロです(確認済み)。BOEは9/17会合前で、今週の要人発言予定は確認できませんでした。日銀は増委員のみ。つまり今週「言葉で相場を動かせる」のはECBと日銀・RBAだけで、米国側は木曜PPI・金曜CPIという数字だけが語る週です。
ウォラー理事の一言で利上げ確率48%へ。今週はその「言葉」がゼロになる
9/3、ウォラーFRB理事は「インフレは目標を大きく上回っているが、直近データに鈍化の兆しがある。あと2週間これが続くなら、9月は政策金利の据え置きを支持する」と述べました(FRB公式・講演原文)。FRBが重視するPCEの3か月ベースの伸びが2月の4.76%から3.05%まで下がったことを「相当な改善」と評価した形です。9月利上げの見込みは前日の約63%から48%へ崩れ、ドルはG10全通貨に対して下落(CNBC・Bloomberg)。翌日の雇用統計(+16.2万人)で60%前後まで戻しましたが、この往復がそのまま先週の値動きになりました。
そして今週、FRBは9/5から9/17までブラックアウト期間に入ります。木曜のPPI、金曜のCPIがどう出ても、それを「和らげる」「強める」発言は一切出ません(セントルイス連銀・ブラックアウト規定)。数字がそのまま9/16のFOMCへの織り込みに直結する、普段より反応が素直になりやすい週です。
円については、ベッセント米財務長官が8/30に植田日銀総裁と会談して「円の大幅な過小評価」への断固たる対応を支持すると表明し、9/1には「日本はリフレ政策をやめるべき」とまで踏み込みました(Bloomberg日本語版・日本経済新聞)。三村財務官は9/3に「最近の円の動きに満足も安心もしていない」とし、レートチェックの有無については回答を避けています(CNBC)。
当ブログの強弱指数:JPY +21.2 > CAD +15.5 > AUD +10.4 > EUR +9.3 > GBP +3.4 > CHF -7.0 > NZD -22.4 > USD -30.5
ドルの日次は月 -12.3 → 火 +21.6(ISM製造業・JOLTS)→ 水 -5.4 → 木 -44.3 → 金 +9.8。木曜のウォラー講演(21:30)と、その前日からの高田日銀委員発言による円急伸(ドル円160.39→155.28)が重なった時間帯に、週の下げのほぼ全部が出ています。金曜の雇用統計は+16.2万人と予想(+5.5〜5.8万人)の3倍近く、7月分も-2.3万人から+2.1万人へ上方修正されましたが、戻したのは木曜の下げの2割ほどでした(Bloomberg・The Japan Times)。当ブログは先週USDを「やや強気」と置いて外しました。ウォラー理事の講演を「今週のFRB発言で最重要」と自分で書いておきながら、それがハト派(「利上げしなくてもいい」寄り)に振れた場合を判定に入れていなかったのが原因です。今週はその反省を織り込み方向の確認(下の④の冒頭)に反映しています。
ぼんやり検索で拾った補足を4つ。①NZドルが最下位圏だった理由はRBNZの「ハト派利上げ」。9/2に2.75%へ利上げしたものの、先行きの道筋が「10月見送り・12月に3.00%」と控えめで、95bpの追加利上げを見込んでいた市場が巻き戻し、NZドルは日中1.7%安(babypips・ActionForex)。②カナダは雇用が-4.2万人(予想+1.5万人)でもCADは週間2位。9/2のBOCが関税インフレへの警戒を示す「タカ派据え置き」だったことと、原油高が勝ちました(TD証券)。③日本の10年債利回りが約30年ぶりに3%到達(9/1)。西原宏一氏は「財政不安から国債が売られ、金利上昇と円安が同時に進む場面があった」と指摘しており、円高の裏で「良くない金利上昇」が同居しています。④米イランの再衝突(週末の米軍によるイラン領島攻撃、9/3のクウェート米軍基地への攻撃)で原油は週間+9%。ただし「有事のドル買い」は木曜の下げを止められませんでした。
続くか一巡か:円買いは9/18の日銀会合まで材料が残るので「続く」寄り。ドル安は雇用統計で半分戻しており、金曜のCPI次第で「一巡」もありえます。NZドル安はRBNZの道筋変更を消化済みで、今週は材料薄のため「一巡」寄り。CAD高は原油次第です。
米イラン再衝突でブレント97ドル台、ホルムズ海峡の商船通航は停止。今週は「原油→金曜CPI」の経路が本命
約1か月ぶりに米イランの直接攻撃が再開し、イランはホルムズ海峡の外側に新たな「制限区域」を宣言、商船の通航が止まっています(Bloomberg・Trading Economics)。ブレントは97.62ドルと約1か月半ぶりの高値、WTIは92ドル台。ANZは今年の湾岸供給の減少を23〜24億バレルと推計し、シティの基本シナリオは「第4四半期に交渉で再開」です。9/24のトランプ・習会談の前に外交的な進展が出れば、原油は急反落する可能性もあります(Investing.com)。
ここで効き方が2通りある点に、今週も注意が必要です。①緊張→安全資産としての金買い・ドル買い(直接の経路)と、②原油高→物価上昇→FRBの利上げ観測を支える→金利上昇→ゴールドの逆風(金利の経路)。今週は金曜のCPIの総合が原油主導で+0.4%と高めに出る予想なので、②の経路がそのまま数字になって出てきます。「有事の金買い」だけを見ていると方向を外しやすい週です。カナダドルには原油高が支えですが、9/8にカナダの対米報復関税が発動予定で、通商の悪材料が同じ日に重なります。
ゴールドは$4,430前後。ゴールドマンは年末$4,900、ただし今週は上下どちらにも動ける位置
ゴールドは9/5時点で$4,429前後、先週は週間+0.1%とほぼ横ばいでした。200日移動平均($4,530付近)の下にとどまっており、XMのAchilleas Georgolopoulos氏は「200日線を上抜ければ直近高値の再テスト」と見ています。ゴールドマン・サックスは中央銀行の買い(2026年は月平均50トン、2022年以前の約3倍)を根拠に年末$4,900を維持(Kitco News)。ワールド・ゴールド・カウンシルによると7月は金ETFに30億ドルの資金が流入して2か月ぶりの流入超、第2四半期の中銀購入は289トンと前年比+62%でした。一方、CFTCの建玉では大口投機筋の金ロングが1.5万枚減っており、上値を追う勢いは一服しています(FXStreet COTレポート)。
今週の隠れた材料は9/9から始まる米財務省の長期債買い戻しオペ(1回の上限40億ドル)です。8/19に買い戻し倍増が発表されたときは米長期金利が急低下してドル安・金高になりました(当ブログ8/24週の検証)。今回は「発表」ではなく「実行」なので効き目は小さいはずですが、金利の上限を抑える材料として金には追い風側です。原油は建玉でもロングが積み増されており、CPI週の物価要因として意識されます。
海外アナリスト(ING Think、FXStreet、XM、ActionForex/TD証券、Kitco News、ゴールドマン・サックス、BBH、ノムラ、IG)と、国内ソース(羊飼いのFXブログ取材記事の神田卓也氏・志摩力男氏・西原宏一氏・小林芳彦氏、外為どっとコム)の見解をミックスして整理しました。
今週の「市場が織り込んでいる方向」(各バッジの前提。すべて今週時点のソースで確認)
FRB(9/16)=利上げ約60%(CNBC・雇用統計後。ウォラー講演直後は48%)/ECB(9/10)=利上げほぼ確実(ロイター調査65人全員)、12月の追加利上げ約80%(XM)/日銀(9/18)=利上げほぼ完全に織り込み(FXStreet)/BOE(9/17)=据え置き予想、ただし市場は来夏までに3回の利上げを見込む(ING)/RBA(9/28-29)=11月までの利上げ約92%(IG)/RBNZ=10月見送り・12月3.00%(RBNZ自身の道筋)/BOC=据え置き後、年内利上げ観測は雇用悪化で後退(TD証券)。先週と同じく主要中銀のほとんどが「利上げ」側ですが、FRBだけが講演1本で48%⇄60%を行き来する半信半疑の状態です。
USD 米ドル→ 中立(金曜CPI次第)
JPY 日本円↑ やや強気介入警戒:中。三村財務官は9/3に「最近の円の動きに満足も安心もしていない」と述べ、レートチェックの有無は明言を避けました(CNBC)。財務省が7/30〜8/26に過去最大15.4兆円の円買い介入を実施したことは8/28に公表済みで、ベッセント長官も日本の対応を支持しています。今週は円高方向なので実弾の可能性は下がっていますが、当局の語気は「満足していない」段階を維持しており、円安に戻れば即座に警戒が戻る状況です。逆に振れるとしたら:米CPIが強くドル金利が跳ねた場合(XMも「強いCPIは円高の試練」と指摘)と、増委員が高田委員より慎重なトーンで「まず1回」にとどめた場合。そのときは158円台への戻りが目安です。
EUR ユーロ→ 中立
GBP ポンド↓ やや弱気
AUD 豪ドル↑ やや強気
NZD ニュージーランドドル↓ やや弱気
CAD カナダドル→ 中立今週の主役は金曜21:30の米消費者物価指数(8月分)です。9月16日のFOMCの前に出る最後のインフレ指標で、しかもFRBはブラックアウト期間中。結果を「和らげる」発言は出ません。
予想の数字を並べると、今回の難しさが見えてきます。
- 総合CPI:前月比 予想+0.4%/前回+0.1%(前年比 +3.4%/前回+3.4%)
- コアCPI(食品・エネルギー除く):前月比 予想+0.2%/前回+0.2%(前年比 +2.4%/前回+2.5%)
- 前日の木曜21:30には生産者物価指数(PPI):前月比 予想+0.4%/前回±0.0%、前年比 +5.2%
ポイントは総合が跳ねてコアは落ち着く、という「ねじれ」が最初から予想されていることです。総合が+0.4%へ加速するのは、8月の原油が去年の8月(大きく下げた)と違って高止まりしたから。エネルギーを除いたコアは+0.2%で、ウォラー理事が「鈍化の兆し」と評価した流れの延長線上にあります。
なぜ意見が割れるのか。市場が「総合」と「コア」のどちらの数字で取引するかが決まっていないからです。①総合+0.4%は「原油高がインフレを再加速させた」と読める→利上げ観測が上がる→ドル買い・金売り。②コア+0.2%は「基調のインフレは落ち着いている」と読める→ウォラー理事の据え置き論が補強される→ドル売り・金買い。babypipsも「どちらの行を市場が取引するかで週が決まる」と整理しています。ふつうの年ならFRBはコアを重視しますが、ウォーシュ議長は8月のジャクソンホールで「PCEインフレ3.7%は目標を大きく上回る」と総合寄りの言い方をしており、FRB自身がどちらを見ているのかも半信半疑な状態です。
先週の値動きが示したとおり、いまの相場は「利上げ確率が10ポイント動くとドルが全通貨に対して1%近く動く」感度になっています。ブラックアウト中でその感度を抑える発言がないぶん、金曜は数字1本で普段より大きく振れると考えておくのが安全です。
今週の各アナリストの分析と直近のニュースをAIに読み込ませて、総合判断を聞いてみました。
AUD>
EUR≒
USD>
CAD>
GBP>
NZD
今週は「FRBが黙っている中で、インフレの数字だけが語る」一週間です。先週ウォラー理事の一言で利上げ確率が48%まで崩れ、雇用統計で60%まで戻りました。その答え合わせが木曜のPPIと金曜21:30のCPIで行われます。総合は原油で+0.4%と高め、コアは+0.2%と落ち着いた予想で、市場がどちらを見るかで方向が決まります。木曜21:15のECBは2.50%への利上げがほぼ確実で、勝負は12月を認めるかどうか。円は日銀の9月利上げがほぼ織り込まれた状態で、木曜の増委員の発言が「その先」を後押しするかが焦点です。介入警戒は「中」で、円高方向の今週は実弾より当局の言葉を追う週になります。
▶ 来週の注目:9/14週はいよいよ会合ラッシュ。9/15-16のFOMC(利上げか据え置きか)、9/17のBOE、9/18の日銀(利上げ予想)が3日連続で並びます。米小売売上高もあり、今週のCPIの結果を受けて「9月利上げ」の織り込みがどう固まったかの整理からお届けする予定です。
※指標の重要度ランクは羊飼いのFXブログ(kissfx.com)の指標ランクを参考にしています。


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